塩麹とはなぢ

身の回りの小さきを愛す

春分のプレゼント

頭が冷蔵庫に入っているような寒さで目が覚めた。私は冬が大好きだ。春夏秋は汗をかく余地がある。暑いのが大っ嫌いだ。

また、ふとカーテンの隙間から外を見渡す。隣家の屋根に降り積もる柔らかい雪がとても可愛らしくて、少し幸せな気持ちになった。

今日は春分の日だ。春なのだ。

2月の終わりから3月にかけて暖かくなりすぎた、冬からの抵抗のようにも感じる。それか、まだ春じゃないんだと、私のような冬以外苦手な人間たちに心の余裕を与えてくれているみたいだ。なんて建気なの。

でももう、冬はほぼ死んでる。きっと最後の力を振り絞ってくれたんだろう。冬はいつも寂しい。人間はいつも、必ず溶けてしまう雪で可愛らしいダルマをわざわざ作ったり、子供たちの大切にしたかった真っ白でフワフワの積もった雪も、タイヤと足の跡に汚してしまう。

また一年後に冬が訪れる。一年も待てないよと思う。でも、来年には待った甲斐があると思えているだろう。

いま、透明な澄んだ空気を全身で感じられる事がただただ嬉しい。疲弊を繰り返す生活に思いがけないプレゼントをもらったのだと思う。

明日からまた、一歩だけでも前に進もう。冬はいつでも優しい。