塩麹とはなぢ

身の回りの小さきを愛す

電子レンジみたいな漫画

とある漫画を読んだ。ボロボロ涙が出た。驚くほど涙が出た。

ある人に絶対読めと渡された素敵な漫画。出版されてから30年以上も経った「古い」モノなのに私には「真新しい」世界だった。

短めの漫画がいくつも入っていて、大体の作品に女の子が出ている。皆違うタイプだけれど、どこか似ていて、どこか尖っている。

わたしは、電車の中で「嫌い」を言っていく女の子のお話がとても好きだった。年寄りが嫌い女が嫌い、そんな事を言う彼女は嘘つきが好きだと言う。強い嘘つきになりたい、そう思っている。荒波に揉まれながらも、どうにか強がっている。

自分は強がりきれない。恥を捨てて強がることができない。もしかしたら、よっぽど強がる人より恥ずかしい奴なのかもしれない。だから私はそんな「嫌い」ばかりの彼女に惹かれてしまうのだろう。

そんなつもりじゃなかったのにボロボロ出る涙は止められなかった。泣きたくないのに出てきた。心の中の負の何かが冷蔵庫に入ったバターみたいになっていたけれど、どんどん溶けて沁みこんだ。素敵な作品だ。温かかった、電子レンジみたいな、無限ワットな電子レンジ。

良いものに出会えたな、またそう思えて私は嬉しい。