塩麹とはなぢ

身の回りの小さきを愛す

義務でめくる図鑑を突き放す

小さい頃から絶やさず何か趣味を持っている。小学校低学年の頃は昆虫と恐竜が好きだった。だがそのイメージがつきすぎて、「好きである人」でいるのがしんどくなってしまった。

最初は心から好きだったのに、途中から周りからのイメージの「好きである人」を保つために、心が無いまま図鑑をめくることが増えていったのである。完全に義務としか思えなかった。あんなに好きだったのに、そう思ってしまうのも、誰かに思われるのも嫌で、心を捨てて好きを演じることに徹していた。

いつ頃だったのだろう、ある時急に恐竜と昆虫に興味がなくなったと言い切ることができた。それから、本当に好きなモノとどうでもいいモノを見極められるようになった気がする。

今は読書や映画、なによりテレビと音楽が好きだ。これは多分一生変わらない気がする。好きな趣味の中には、もちろんどうでもいい奴のどうでもいい作品とかもある。ただ、それまで愛さなくていいという事に恐竜と昆虫を突き放してから気づいた。義務じゃない。義務な訳がない。なんてハッピー。

今は私が「音楽好きな人」、「テレビ好きな人」なんて思われても全然負担に思わない。そう思われるのはちょっと恥ずかしいし、別に思って欲しい訳じゃないけれど。

自分の中の線引きを明確にすると人の意見なんてどうでも良くなるのだ。ただ好きなんだそれだけだ!みたいな、自分の中の俺物語・剛田猛男が出てくるから、なりふり構ってなんかいられない。良いと思うものが好きなだけなんだから。

好きなモノに興味を失っていく事はものすごく寂しくて、悲しい気持ちになるのである。そんなのもう味わいたくない。今ある自分の趣味を大切に、心の底から愛したままでいたい。

琴線に触れたモノを集めて、広げて、心の安らぎをさらに探そう、突き放してしまった昆虫も恐竜たちも無駄にならないように、大切に。