塩麹とはなぢ

身の回りの小さきを愛す

ネパール人の感情

近所のネパール人が経営している謎のカレー屋に行った。

店内に入る。席に着くや否や、無表情のネパール人店員が「ダイジョウブデスカ」と話しかけてきた。いきなり心配してくれたと思ったら水と一緒に投げるようにお絞りをくれた。ここにお店ができて5年くらい経つが、ずっとこうしてきたのだろう。そもそも無愛想すぎる彼含め、ネパール店員は皆早く帰りたいオーラを放っていた。エグいくらい出していた。とりあえず見なかったことにしたけど。それくらいここは何でもありなのだと悟った。

ケバブ屋を見つけるとすぐに買いたくなる性格の私は、無愛想な外国人には少し慣れている、少しだけ。だから平気だったけれど、冷静に無愛想にもほどがありすぎた。2年くらい前に見つけたトルコアイス屋よりも無愛想。ただ、それがこのカレー店の良さでもあるのだろう。できた当初はすぐ潰れると思っていたけれど、年を経るごとに客が増えている。きっと味以外の魅力があるのだ。

スタンダードめなシーフードカレーセットを頼んだ。なかなかこういう所は来ないからドキドキしながら頼んだ。

待っている間、この店のオーナーみたいな日本人が来た。ネパール人の彼らとは違い愛想が異常に良かった。ネパール店員を集めて何か話しているかと思えば、感情の見えないネパール人に「ワオー」と言わせていた。何を言ったのだろうか。何か物凄い事を伝えたみたい。無表情なのに感嘆している彼らはとても面白い。顔を動かさず心と身振りだけを動かす。何を囁いたのだろう。気になる。

モヤモヤとした気持ちになっている間に、オーダーから思ったよりも早くカレーはきた。私の顔の2倍くらいあるナンも付いてきた。

ステンレスの椀にめいめい入るカレーとシーフードたち。そこにちぎったナンを浸す。これまたドキドキ。カレーが無駄にならないように、ゆっくりとナンを引き上げ口へ運ぶ。なるほど、美味い。思い描いていたネパール人のカレーだ。シーフードも美味い。カレーに浸される為に海を泳いできたような感じ。腹が満たされてとても幸せな気持ちになった。

なかなかしないであろう体験。美味しいカレーをたらふく食べて、感情の見えないネパール人の感情をみた。なかなか今日はゆとりのある一日。楽しかった。また今度行こう。