塩麹とはなぢ

身の回りの小さきを愛す

万引き家族をみた

万引き家族をみた。いつもの悪い癖で有名になったから観るのをやめようとか一瞬思ったのだけど、やっぱり悪い癖なのだと痛感する、それほどに良い映画だった。

深い海底から太陽を見上げるようだ。重くて暗くて息苦しい筈なのに、人と人が「家族」であるだけで彩りになり、絆を生み、愛となっていた。正しい「繋がり」が必ずしも幸せとは限らないし、歪で今にも千切れそうな「繋がり」が誰かには本当の幸せだったりする。時代にも社会にも取り残された「家族」は、それらが取りこぼした温かさも優しさも持っていて、戸籍とか事実とかそんな事では語れない、窪んだ真実があったように思う。

また、ラストをみて何が幸せかは他人が決める事でないと改めて気づく。本当の幸せなんて自分で決める事で、周りから見える幸せなんてはりぼてにすぎないのだと感じる。正義感に突き動かされる警察官は、事実と真実の行間を読めない。いざ正義を全うすれば、ユリはじゅりとなるだけで鬱屈とした生活を焼き戻しているようだし、そこには愛も優しさも温もりもない。他人から見た事実は全く真実ではないのだ。

あまりに人生経験の少ない私は何を言っても浅はかなのだけれど、ここで変な評論とかしちゃうのもアレだしいいんだこれで。うまくまとめられないしぐちゃぐちゃしてるけど、とにかくいい映画だったな。